広島県民文化センター玄関ホールに渦を描いた大きな陶壁があります。力強い作品なので気になって説明板を読むと、「潮音(ちょうおん)」という題の深い意味のある作品だと分かりました。
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| 加藤唐九郎(1897~1985)作「潮音」 | 
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  説明板には次のような作者の言葉が書かれていた。 
 「潮音」というのは、水に恵まれたこの土地にゆかり深いばかりではなく、仏教では大勢の読経の声をいう。 
 10年前、あるテレビ局で、「広島に私の陶壁を作りたい」という話をしたことがある。 
 今回、広島県民文化センター・玄関ホールの陶壁製作のご依頼いただき、それが実現したことをひじょうに喜ばしく思っている。 
 これは一人の日本人として、この土地に刻まれた原爆投下という人類の受難の歴史に対する、鎮魂の心を遺しておきたいという思いを抱きつづけて来たからである。潮の音は、人々の、時の流れを超えた声とならざる声でもあり、世界が明日へつながっていく鼓動でもある。 
  昭和60年3月吉日                                  加藤 唐九郎 
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